某共同住宅屋上
そこに古雑誌が打ち撒かれているだけで妙に匂いたつ空間になっていた。
フレーミングにじっくり時間をかけていると、無名のグラビアガールたちの視線すら感じた。体を曲げてファインダーを見つめる撮影者の姿勢は、ビルの10階から街並を俯瞰するときとなんら変わらない。
演出めいた雑誌の並びは、実際私以前の数々の撮影者の行為によって得られた光景だ。わたしはそれをさらに、目敏く切りとった。しかも、こんな撮影に1時間もかける奴はいなかったろう。
刷り上がったA0プリントは、お気に入りの一枚となった。そのイメージはweb上では多くの人の目に触れたようだが、残念ながらプリントが展示されたことは一度もない。ごく一部の人だけが雑誌の細かな一文字まで読めるクオリティを楽しんでいる。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント