軍艦アパート未発表作9
「7号棟と8号棟」
7号棟と8号棟の隙間は、建て増しによって人ひとり抜けるのがやっとの狭いスペースとなっていた。こうやって2〜3階部分をみても、両側から迫り出した「出し屋」でわずかな隙間しかないのがわかる。
とくに角の部屋であることを利用した大胆な施工には驚かされるが、実際この部屋をどのように利用していたのだろうか。割合しっかりした普請だが、あんまり重量物は置けないだろうし、子供部屋にしたとしても、ここで寝るのはちょっとこわい。ただし、この出し屋が脱落した事故というのは聞いたことはない。
これを撮ったのは、もう2年前で「サヨナラ軍艦アパート」の撮影スタイルが固まる以前である。もともとハッセルで撮っていた夜景のシリーズにつなげようとして、試行錯誤した時期であった。この写真が縦位置であり、上の空間が空いているのは、当然スクエアへのトリミングを想定していたものだった。
HDRI作成については、最初は普通にオートブラケットしていたものをコンポジットしたものだったが、輝度差の激しい光景だと満足な結果が得られず、やがてその段数は増えていった。
あの頃の出来事が、つい先日のように感じてしまう。こんな魅力的な被写体はもう見つからないが、感傷にひたっている暇はない。今週も、いつか撮ろうと思っていた建物が消えて無くなっているのがわかり、ショックを受けた。この冬は、そんな物件のいくつかを追いかけていきたい。
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